正式な出会い
弟から電話があった。
結婚後、初めてもらう弟からの電話。
私は気を引き締めた。
家族が私に電話をしてくる時は、だいたい頭ごなしに怒るか、問い詰めるか、のどちらかをしたい時なのだ。
「どうしてんねん」「どうしてるもなにも、動きようがなくて困ってるわ」「強引に荷物をウチに運び込んでしまえや」「そんなん、言うたって、カギも持ってへんねんで」「カギなんか、どうにでもなるやろ。
引っ越し屋がゴッソリ荷物を運んで来たら、お父さんもお母さんも「帰ってください」って、追い返すわけにいかへん、て」「それも、そやな」思わぬやさしい言葉に、私は免罪符を受け取った気分になった。
というわけで、ようやく、ご帰還である。
その前に、私は夫と2人、最後の共同作業に取り組まねばならなかった。
離婚届の完成だ。
離婚届には当人夫婦それぞれのサインが必要だが、ほか2人の方に証人になっていただかなくてはならない。
私たちは、夫の職場の先輩であるYさんと、私の大学以来の友人・Rチャンの2人に頼むことにした。
ある晩、私たちは近所に住むYさんの所へ出かけていった。
Yさんは私たちの結婚披露宴にもご出席くださり、その後も文字どおり「若い2人をなにかとご指導ご鞭捷くださっていた」ご夫婦だったのだ。
離婚するからには挨拶もしなければならない。
ついで、というわけではないが、離婚届の証人になっていただこう。
驚きはするが、しかたない、と考えてくれるだろう・・・「な、なんだこれはおめぇら、ずっとオレらを騙してたのかぁっ」Yさんの反応は、予想に反した。
出会いの形は時代によって変化します。満足な出会いが絶対見つかる!